統合失調症は、幻覚や妄想、思考や感情の障害など、
さまざまな精神症状を引き起こす精神疾患です。
発症の原因は完全には解明されていませんが、
遺伝的要因と環境的要因が複合的に影響していると考えられています。
統合失調症の症状は、大きく「陽性症状」「陰性症状」「認知機能障害」の3つに分類されます。
* **陽性症状** は、統合失調症の代表的な症状です。
幻覚や妄想、思考や感情の障害などが含まれます。
* **幻覚** とは、実際には存在しないものが見える、聞こえる、触れる、臭う、味わえるなどの感覚を体験することです。
幻聴(耳に聞こえる幻覚)が最も多く、
次に幻視(目に見えない幻覚)、
幻嗅(鼻で感じる幻覚)、
幻味(舌で感じる幻覚)、
幻触(皮膚で感じる幻覚)などがあります。
* **妄想** とは、実際にはありえないことを事実だと信じ込むことです。
自分の能力を過大評価する誇大妄想、
周囲の人から害を被っていると思い込む被害妄想、
周囲の出来事がすべて自分の意志によって起こっていると思い込む影響妄想などがあります。
* **思考障害** とは、思考がまとまらない、思考が速すぎて追いつけない、思考が停止してしまうなどの障害です。
* **感情障害** とは、感情が鈍麻する、感情が不安定になるなどの障害です。
* **陰性症状** は、統合失調症の患者さんによくみられる症状です。
意欲の低下、感情の乏しさ、思考の遅滞、社会的交流の減少などが含まれます。
* **意欲の低下** とは、何もする気が起きない、活動的になれないなどの症状です。
* **感情の乏しさ** とは、喜怒哀楽をあまり表に出さない、表情が乏しいなどの症状です。
* **思考の遅滞** とは、思考が遅くなる、物事を理解するのが遅くなるなどの症状です。
* **社会的交流の減少** とは、人付き合いが億劫になる、人前で話すのが苦手になるなどの症状です。
* **認知機能障害** は、統合失調症の患者さんによくみられる認知機能の低下です。
記憶力、注意力、集中力、判断力、実行機能などの低下が含まれます。
統合失調症の治療は、薬物療法と心理社会的療法が中心となります。
薬物療法では、幻覚や妄想、思考や感情の障害などの陽性症状を改善する抗精神病薬が使用されます。
心理社会的療法では、認知行動療法、家族療法、社会スキルトレーニングなどが行われます。
統合失調症は、適切な治療を受ければ、社会復帰が可能です。
しかし、再発しやすい病気であるため、定期的な受診と服薬が大切です。